【架空事例】29歳で事務から営業へ転職したら
架空インタビューについて
この記事は、キャリアの選択を考えるために、仮定した人物・条件で構成した架空のインタビューです。実際の取材ではありません。人物の発言、年収、勤務時間、転職後の経過はすべて説明用の設定であり、職種の相場や転職成果を示すものではありません。
業務内容は、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の解説と照らして確認しました。参照した統計と、この記事で仮定した条件の違いは末尾に記載しています。人物・発言・個別の年収や残業時間は説明用の設定で、業界平均から算出したものではありません。
年収340万円の営業事務から、想定420万円の法人営業へ。顧客と直接話す手応えは増えたものの、目標未達の月に気持ちが揺れた29歳の架空インタビューです。
今回の人物と、転職前後の条件
Cさん、29歳。商社の営業事務を7年経験し、一人暮らし。転職先は企業向けの消耗品を扱う会社で、既存顧客中心の法人営業を担当します。入社9カ月時点の設定です。
| 項目 | 転職前 | 転職後 |
|---|---|---|
| 年収 | 340万円:月給23万円×12+残業代16万円+賞与48万円 | 想定420万円:月給28万円×12+残業代24万円+賞与60万円 |
| 給与の仕組み | 固定給と賞与、別途残業代 | 固定給中心。個人の売上歩合なし。賞与は業績・評価で変動 |
| 仕事内容 | 受発注、見積書作成、納期調整 | 既存顧客への提案が中心。一部、新規問い合わせ対応 |
| 勤務時間 | 残業月10時間程度 | 残業月20時間程度、繁忙月は30時間 |
| 休日・支援 | 土日休み | 土日休み。最初の2カ月は先輩と同行 |
年収は本人の額面額。転職前は直近1年間、転職後は設定した月給・残業代・賞与を年換算した想定額です。転職後の年間受取実績ではなく、賞与や残業時間で変わります。以下の対話もすべて架空です。
事務を辞めたかったというより、自分で提案してみたかった
Q. 営業を考えたきっかけは何でしたか?
Cさん(架空):前職で、顧客から納期について電話をもらうことがよくありました。在庫や代替品を調べて営業担当に伝え、その案が採用されると、少しうれしかったんです。自分でもう少し話を聞いてみたいと思うことが増えました。
ただ、事務の仕事が全部嫌だったわけではありません。予定が立てやすく、周りとの関係も悪くなかった。転職の理由を聞かれても、強い不満がない自分が動いてよいのか、しばらく迷いました。
給与の伸びが小さいことも気になっていました。生活はできているけれど、貯蓄を増やそうと思うと余裕がない。同じ事務職で会社を変える案と、営業へ移る案を並べて探しました。
Q. 営業なら何でもよい、というわけではなかった?
Cさん(架空):はい。最初は求人に書いてある年収の幅を見ていました。でも、高い金額が歩合をたくさん取った場合の例だと知って、自分の希望とは違うと思いました。
欲しいのは毎月の収入を少し安定して増やすことで、大きく稼げる可能性だけではなかったんです。土日休みも続けたかったので、顧客が法人で、固定給が中心の仕事に絞りました。
事務経験が役立ったのは、話し方より準備と調整
Q. 入社して、前の経験が使えた場面はありましたか?
Cさん(架空):顧客から追加注文をもらったときです。そのまま受けると希望納期に間に合わなかったので、一部を先に納める案と、代替品を使う案を用意しました。受発注の流れを知っていたので、先に社内へ確認する項目が分かったんです。
前は営業担当を通して提案していましたが、今は自分で顧客に説明できます。「それなら助かる」と言われると、何が役立ったかが見える。その点は、転職してよかったと感じます。
Q. 逆に、準備だけでは足りなかったことは?
Cさん(架空):こちらが分かりやすく説明しても、注文につながるとは限らないことです。商品を詳しく調べて訪問したのに、「今は必要ない」で終わることもあります。最初は、自分の説明が下手だったのだと思って落ち込みました。
先輩に相談すると、説明の前に相手の購入時期や予算の決まり方を聞いたか、と言われました。前職では注文や相談が来た後の対応が中心でした。営業では、まだ注文になっていない話を聞くところから始まる。その違いが大きかったです。
目標がある仕事を、自分がどう受け止めるか
Q. 売上目標への不安は、実際にはどうでしたか?
Cさん(架空):なくなりませんでした。入社5カ月目に、予定していた注文が翌月へずれたことがありました。自分の段取りだけで決められない理由でも、月の数字には出ます。周りの進捗が見えるので、気にしないのは難しかったです。
固定給なので、その月の売上が少ないからすぐ月給が減るわけではありません。それは安心材料でした。でも、給与が安定していることと、数字へのプレッシャーが小さいことは別でした。
Q. 上司には、どう相談したのですか?
Cさん(架空):最初は「頑張ります」としか言えませんでした。何を相談すればいいか分からなくて。面談で案件ごとに、次の発注予定、見積もりの返事、顧客の社内確認の状況を整理してから、話しやすくなりました。
上司が一緒に次の確認先を考えてくれたのは助かりました。もし結果だけを見て、なぜ取れないのかと毎回責められる職場だったら、同じ営業でも続けにくかったと思います。
ただ、良い上司がいれば全部解決するわけではありません。数字を見るのがしんどい日はあります。そこは、自分に向いていると簡単に結論を出せない部分です。
人と話すのが好きかどうかだけでは、営業の働きやすさは決まらないと感じました。目標の扱い方と、困ったときの相談の仕方も大きかったです。
収入と休日は守れた。でも、仕事を持ち帰る気持ちは増えた
Q. 年収420万円という条件には満足していますか?
Cさん(架空):月給が23万円から28万円になったので、毎月の見通しは立てやすくなりました。ただ、420万円は賞与と残業代を含む想定です。賞与は変わるので、その金額を前提に生活費を増やすことはしていません。
前職より残業は増えました。訪問後に見積もりや記録をまとめていると、気づいたら遅くなっています。事務を経験しているから書類仕事は速いはず、と思っていましたが、顧客ごとに事情が違うので、初めはそれほど簡単ではありませんでした。
Q. 土日休みは、そのまま休めていますか?
Cさん(架空):出勤はありません。でも、日曜の夜に月曜の商談を考えてしまうことがあります。前職は作業を終えたら区切りがついていたのに、今は相手の返事を待つ案件が残ります。
金曜の終わりに、次にすることと、返事が来るまでできないことを分けて書くようにしました。考えても今は動かせないものが見えると、少し休みやすくなりました。休日の日数が同じでも、仕事との距離は同じではないんですね。
Q. 9カ月後の評価を言葉にすると?
Cさん(架空):自分で提案して、その先まで見たいという希望はかなっています。収入も月給ベースでは増えました。一方、営業なら成長できて楽しくなる、というほど単純ではなかったです。
もし何年か働いて、数字を追う負担が大きいと分かったら、顧客対応の経験を持って別の役割を考えるかもしれません。今はこの仕事を続けたいですが、事務に戻ることまで失敗だとは思っていません。
「営業への転職」でひとまとめにしないために
このケースは、既存顧客中心、固定給中心、土日休み、同行期間あり、という条件を置いています。新規開拓が中心の営業や、歩合の割合が大きい仕事に、そのまま当てはめられる話ではありません。
求人を見るときは、年収の上限より先に、自分が担当する顧客と売り方を確認します。「既存営業」と書いてあっても、新規提案や追加契約がどのくらい求められるかによって、日々の仕事は変わります。
目標については、入社直後から同じ数字を持つのか、未達だったときに何を振り返るのか、誰が商談を支援するのかを聞くと、日常のイメージが具体的になります。給与が固定だから、評価上の負担も小さいとは限りません。
事務経験を活かせるかは、几帳面さや話し好きといった性格だけでは判断しづらいものです。顧客の事情を整理した経験、納期を調整した経験、間違いを防ぐために確認したこと。それが転職先のどの仕事で使えるかまでつなげて比べたいところです。
参考資料と設定の考え方
資料確認日:2026年10月16日。以下は公開資料との照合で確認した範囲です。物語の人物や出来事が実在することを示す資料ではありません。
厚生労働省 job tag「営業事務」
見積書・納品書の作成や顧客対応など、前職の業務設定と対応する仕事を確認しました。全国の年収525.1万円、平均年齢43.3歳は令和7年賃金構造基本統計調査を加工した職業分類の値です。記事の29歳・340万円とは対象条件が異なり、この統計から340万円を算出したわけではありません。
厚生労働省 job tag「営業の仕事」
営業には顧客や販売方法などによる違いがあることを確認する資料です。記事は既存顧客中心の法人営業を仮定しており、想定年収420万円や固定給の条件は営業職全体の標準を表しません。
job tagの統計は、必ずしもページに書かれた職業だけの集計ではありません。年齢、企業規模、職位、勤務地などの条件も記事の人物とは一致しません。平均との差だけで、記事の給与設定が妥当だとは判定していません。
記事内の残業時間、在宅勤務の頻度、配属、給与内訳、転職後の評価は個別の仮定です。各ケースに一致する平均残業時間は確認できていないため、平均値としては紹介していません。口コミは個人の経験や集計対象の傾向を知る補助資料であり、すべての職場に当てはまる事実や、このケースの実績として扱いません。
