【架空事例】43歳で管理職から一般社員へ
架空インタビューについて
この記事は、キャリアの選択を考えるために、仮定した人物・条件で構成した架空のインタビューです。実際の取材ではありません。人物の発言、年収、勤務時間、転職後の経過はすべて説明用の設定であり、職種の相場や転職成果を示すものではありません。
業務内容は、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の解説と照らして確認しました。参照した統計と、この記事で仮定した条件の違いは末尾に記載しています。人物・発言・個別の年収や残業時間は説明用の設定で、業界平均から算出したものではありません。
年収850万円の営業課長から、想定720万円の一般社員へ。管理の負担は減った一方、権限や周囲との関係に戸惑った43歳が、転職後の10カ月を振り返る架空ケースです。
今回の人物と、転職前後の条件
Eさん、43歳。中堅企業で営業課長を5年務め、部下8人を担当。配偶者と中学生の子どもがいて、住宅ローンがあります。転職先では、部下を持たず既存顧客を担当する法人営業職として働きます。
| 項目 | 転職前 | 転職後 |
|---|---|---|
| 年収 | 850万円:月給55万円×12+賞与190万円 | 想定720万円:月給48万円×12+残業代24万円+賞与120万円 |
| 給与内訳の補足 | 月給55万円のうち役職手当は8万円。その他の支給なしという設定 | 役職手当なし。残業代は別途支給。賞与は変動 |
| 担当業務 | 部下8人の評価、営業管理、難しい顧客対応 | 既存顧客の提案・契約調整。人事評価の担当なし |
| 勤務の設定 | 残業月45時間、休日の業務連絡あり | 残業月15時間、休日の連絡は原則なし |
| 評価・権限 | チーム成果と部下の育成。一定の決裁権あり | 個人の担当顧客と成果。条件変更は上司に承認を求める |
年収は本人の額面額。転職前は直近1年間、転職後は設定した月給・残業代・賞与を年換算した想定額です。転職後の年間受取実績ではなく、賞与や残業時間で変わります。以下の対話もすべて架空です。
管理職の仕事が増え、好きだった顧客対応が遠くなった
Q. 管理職を辞めたいと思った理由は何ですか?
Eさん(架空):営業の仕事そのものは好きでした。ただ、課長になってから、自分の顧客に向き合う時間が減りました。部下の評価、数字の報告、部署間の調整、誰かが困ったときの対応。その合間に自分の仕事をする感じです。
休日にも、月曜までに返事をしておいたほうがよい連絡が来ました。ずっと仕事をしているわけではないのに、頭の一部が離れない。子どもの話を聞いていても、途中で通知を見てしまうことが増えました。
Q. 社内で役職を降りる方法は検討しましたか?
Eさん(架空):上司に相談しました。担当を減らす案は出ましたが、後任が決まるまで管理職は続けてほしいという話でした。いつまでかは決まりませんでした。
それなら転職しかない、とすぐ決めたわけではありません。担当を減らした状態でしばらく働きながら、外の求人も見ました。ただ、役職を持たずにどんな仕事を任せてもらえるかは、社内ではまだ見えなかったんです。
年収130万円減を、気持ちだけでは決めなかった
Q. 給与が下がることには、迷いがありましたか?
Eさん(架空):ありました。850万円から想定720万円ですから、年収の差は130万円あります。楽になるならいい、と自分一人では決められません。住宅費も教育費も続きます。
配偶者と、毎月の固定費、年間の支出、今後の予定を分けて見ました。年収700万円以上という条件は、その話し合いのために置いた自分たちの目安です。誰でもその金額なら暮らせる、という意味ではありません。
転職先の賞与は変わるので、720万円が毎年確定しているわけでもありません。月給でどの支出まで賄うかを確認し、賞与を前提にしすぎた買い物は見直すことにしました。
Q. 年収を保って管理職を続ける求人も見ましたか?
Eさん(架空):見ましたし、迷いました。経験を評価してもらえるとうれしくなります。でも、話を聞くと部下の育成と営業組織の立て直しが中心でした。それは自分が今、減らしたい仕事でもありました。
自分を高く評価してくれることと、その仕事で続けられることは別なんですね。肩書があると安心する気持ちが残っていることにも、そのとき気づきました。
負担が減った実感と、手を出せない戸惑い
Q. 入社して、何が一番変わりましたか?
Eさん(架空):自分の予定を自分の仕事で埋められることです。顧客へ提案する前に資料を読み直したり、訪問後の確認をその日のうちに終えたりできます。前は、途中で管理の仕事が入って後回しになることが多かった。
休日の連絡もほとんどなくなり、月曜まで気にし続けることが減りました。子どもの予定に合わせて出かけても、通知を何度も確認しなくなった。その変化は家族からも言われました。
Q. 一般社員になって、戸惑ったことは?
Eさん(架空):決められることが減ったことです。前職なら自分で判断していた条件も、今は上司の確認が必要です。最初は、これくらい自分で進めていいのにと思いました。
でも、新しい会社の契約や採算の考え方を、まだ理解していないんです。役職を降りたからというだけでなく、新しく入った人だから任せてもらうまでに時間がかかる。その二つを混同していました。
Q. 周りの人との関係はどうでしたか?
Eさん(架空):会議で、前職ならこうしていた、と言いたくなることがありました。一度、チーム全体の進め方について意見を出したとき、上司から、まず担当顧客の状況を把握してほしいと言われました。
自分では役に立つつもりでしたが、まだ知らない事情もある。そこからは、求められている助言なのか、自分が以前の役割を手放せていないだけなのかを考えるようになりました。
管理職を辞めたいと思っていたのに、管理職らしく振る舞える場所がなくなると落ち着かない。その矛盾はありました。転職前には、そこまで想像できていませんでした。
部下を持たない仕事を選んだのに、最初は部下を持っていた頃の判断の速さや立場を求めていました。
仕事の手応えを、役職以外で持ち直すまで
Q. 何がきっかけで、今の役割に慣れましたか?
Eさん(架空):しばらく取引が減っていた顧客を担当したことです。以前のやり取りを読み直し、何に困っていたのか聞きました。そのうえで提案を調整して、次の相談をもらえた。
大きな組織を動かしたわけではありませんが、自分の仕事の結果が見えました。今の会社では、この範囲を任せてもらっているんだと分かると、役職がないことを以前ほど気にしなくなりました。
Q. 管理職の経験は使わないのですか?
Eさん(架空):使います。ただ、自分から周りを管理する形ではありません。顧客の担当者が社内説明で困っているなら、決裁者が何を気にしそうかを一緒に整理する。難しい調整が必要なときに、関係者の順番を考える。そういう使い方です。
チームの若い人から相談されることもありますが、毎回自分が引き取ることはしないようにしています。頼られるのがうれしくて何でも受けると、結局また同じ働き方になるので。
10カ月後の評価と、残っている心配
Q. この転職は、自分にとって良かったですか?
Eさん(架空):家族との時間を戻し、顧客の仕事に集中するという目的では良かったと思います。年収が下がったことは、今でも惜しいです。そこまで気にならなくなった、とは言えません。
また、今の役割で何年も働けるのか、給与がどのように上がるのかは気になります。管理職にならないと評価が止まる会社なら、別の悩みが出てきます。入社時だけでなく、次の評価面談でも確認するつもりです。
Q. もう一度面接を受けるなら、何を聞きますか?
Eさん(架空):部下を持たない経験者に、何を期待しているのかです。目先の売上だけなのか、難しい顧客の担当なのか、将来は結局マネジメントをしてほしいのか。役職なしという表現だけでは、そこまで分かりません。
それから、自分がどこまで判断してよくて、どこから相談するのか。自由に任せてほしいというより、期待と責任の境界を知っておきたいです。入社後に勝手に役割を広げないためにも、必要だと思います。
役職を降りることと、負担を減らすことを分けて確認する
この設定では、人事評価や部下の管理がなくなり、仕事量も減っています。しかし、役職のない求人でも、後輩指導や実質的なチーム調整が多い場合は、本人が減らしたかった負担が残るかもしれません。肩書だけでは判断できない点です。
確認したいのは、担当顧客、個人目標、後輩指導の範囲、休日の連絡、評価の基準です。管理職経験を歓迎する理由が、専門性なのか、将来の管理職候補としてなのかも、言葉にして聞いておきたいところです。
給与については役職手当の有無だけでなく、月給、賞与の変動、残業代の扱いを個別の契約条件で比べます。この架空ケースの給与内訳を、管理職一般の支給ルールとして読むものではありません。
Eさんが失いたくなかったのは、責任すべてではなく、生活を圧迫する管理の負担でした。顧客に対する責任や、自分の経験を使う仕事は残したかった。この違いが見えると、社内で役割を調整する案も含め、どんな仕事なら続けたいかを比較しやすくなります。
参考資料と設定の考え方
資料確認日:2026年10月16日。以下は公開資料との照合で確認した範囲です。物語の人物や出来事が実在することを示す資料ではありません。
厚生労働省 job tag「営業課長」
売上目標や業務計画の管理、部下への指導・助言、人事評価などの仕事内容を参照しました。記事で描く管理職の業務範囲の参考資料です。850万円から720万円への変化や、残業が45時間から15時間へ減る設定を実証する資料ではありません。
厚生労働省 job tag「営業の仕事」
転職後の顧客への提案や取引に関わる仕事を整理する参考資料です。管理職経験者が一般社員へ移った場合の給与や待遇を保証する資料ではありません。
job tagの統計は、必ずしもページに書かれた職業だけの集計ではありません。年齢、企業規模、職位、勤務地などの条件も記事の人物とは一致しません。平均との差だけで、記事の給与設定が妥当だとは判定していません。
記事内の残業時間、在宅勤務の頻度、配属、給与内訳、転職後の評価は個別の仮定です。各ケースに一致する平均残業時間は確認できていないため、平均値としては紹介していません。口コミは個人の経験や集計対象の傾向を知る補助資料であり、すべての職場に当てはまる事実や、このケースの実績として扱いません。
