【架空事例】31歳でエンジニアからコンサルへ
架空インタビューについて
この記事は、キャリアの選択を考えるために、仮定した人物・条件で構成した架空のインタビューです。実際の取材ではありません。人物の発言、年収、勤務時間、転職後の経過はすべて説明用の設定であり、職種の相場や転職成果を示すものではありません。
業務内容は、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の解説と照らして確認しました。参照した統計と、この記事で仮定した条件の違いは末尾に記載しています。人物・発言・個別の年収や残業時間は説明用の設定で、業界平均から算出したものではありません。
年収620万円から800万円を想定してコンサルへ移った31歳。仕事の幅が広がった一方、技術に触れる時間と平日の余裕は減った、という設定で転職後の半年を描きます。
今回の人物と、転職前後の条件
Aさん、31歳。大手SIerで8年勤務し、要件定義や顧客調整を担当。配偶者と共働きで、子どもはいません。転職先はIT領域を扱うコンサルティング会社のコンサルタント職。入社6カ月時点の対話として構成します。
| 項目 | 転職前 | 転職後 |
|---|---|---|
| 年収 | 620万円:月給36万円×12+残業代68万円+賞与120万円 | 想定800万円:月給55万円×12+残業代80万円+賞与60万円 |
| 主な仕事 | 要件定義、見積もり、開発チームとの調整 | 業務整理、顧客への提案、意思決定用の資料作成 |
| 残業の設定 | 月25時間程度 | 平均月40時間。提案前は月55時間程度 |
| 働く場所 | 週2日出社、週3日在宅 | 顧客先に週3日、在宅で週2日 |
| 給与比較の注意 | 残業代は月給と別で支給 | 固定残業代なし。賞与60万円は仮の想定で保証なし |
年収は本人の額面額。転職前は直近1年間、転職後は設定した月給・残業代・賞与を年換算した想定額です。転職後の年間受取実績ではなく、賞与や残業時間で変わります。以下の対話もすべて架空です。
転職したかったのは、技術が嫌になったからではない
Q. 何がきっかけでコンサルを考えたのですか?
Aさん(架空):前の会社で、何を作るかが決まってから呼ばれることが多かったんです。顧客の要望を聞いていると、そもそもその機能が必要なのかな、と感じることもありました。でも、その話に戻すと予算や納期に影響する。決まった範囲でうまく進めるのが自分の役割でした。
システムを作る前の議論に入りたい。それが一番でした。年収も上げたかったですが、技術が嫌になったわけではありません。同期がコンサルに移ったと聞いて、自分にも選択肢があるのかと考え始めました。
Q. 前の会社に残る選択肢もありましたか?
Aさん(架空):社内の上流工程を担当する部署にも相談しました。ただ、異動の時期も担当案件も決まらなかったんです。待つこと自体が嫌というより、待った先に何があるか分からなかった。
一方で、今の部署なら繁忙期が読めて、困ったときに聞ける人もいました。転職先の年収だけを比べていた頃は、その働きやすさをあまり数えていなかったと思います。
入社前に分かったこと、分からないままにしたこと
Q. 年収800万円という条件は、どう受け止めましたか?
Aさん(架空):最初は単純に、180万円増えると思いました。でも、条件を分けると月給で660万円、賞与は仮に60万円、残業代は働く時間によって変わる設定です。800万円が必ず入る、という話ではありません。
それでも月給が上がるのは魅力でした。配偶者には給与の話を詳しくしたのに、平日にどのくらい家にいられそうかは「案件によるらしい」で済ませてしまいました。そこは同じくらい具体的に話すべきでした。
Q. 配属や仕事内容は確認できていましたか?
Aさん(架空):「業務とITの両方に関われる」と説明され、その方向性は合っていました。ただ、実際の案件が決まるのは入社後。自分は要件を議論しながら技術的な選択肢も出す仕事を想像していました。
今思えば、説明として間違ってはいなくても、仕事の一週間までは見えていませんでした。会議が何本あって、どんな資料を何日で作り、誰から修正が戻るのか。そこを聞くと、もう少し具体的に想像できたはずです。
技術経験は役立った。でも、自分で作る仕事は減った
Q. 入社後、経験が役立ったと感じた場面は?
Aさん(架空):業務を一つのシステムにまとめたい、という議論で、データの持ち方や移行の順番を整理したときです。見た目の画面だけを変えても、裏側の運用が残ると現場は楽にならない。その説明は前職の経験が使えました。
顧客がまだ言葉にできていない問題を整理して、次に何を決めるかを示す仕事は面白いです。自分が出した論点で会議の方向が変わったときは、転職したかった理由に近いなと思いました。
Q. 反対に、想像と違った仕事はありますか?
Aさん(架空):資料の修正にかける時間です。ある週は、月曜に顧客へ出す資料を、金曜の夜まで直していました。技術的に正しいだけでは足りなくて、誰に何を判断してほしいかが一枚ごとに問われるんです。
最初は、同じことを何度も言い換えているだけに感じました。でも、顧客の部長が気にすることと、現場の担当者が気にすることは違う。その違いを詰めているのだと分かってからは、修正の意味が少し見えるようになりました。
ただ、コードを書く時間がほとんどないのは今も物足りません。週末に個人で触ればいいと思っていたのですが、平日に疲れると、休みの日まで勉強を続ける余裕はなかったです。
上流の議論には近づけました。ただ、技術を使って自分で作る楽しさまで、そのまま持ってこられたわけではありません。
年収の増加と、平日の時間を一緒に見る
Q. 生活にはどんな変化がありましたか?
Aさん(架空):給与明細の金額が増えたのは、素直にうれしかったです。一方で、顧客先に行く日が増え、残業も平均で月40時間ほどです。家に帰ってから話を聞く余裕がない日が続いて、配偶者に「前より忙しそうだね」と言われました。
転職前は夜の予定を組みやすかった。今は顧客の会議や提出期限で変わるので、約束を確定しづらいです。年収の差をそのまま生活の良さの差にはできないと感じます。
そこで、週に一日は遅い時間の予定を入れないよう上司に相談し、資料の初稿を早めに見せるようにしました。毎回うまくいくわけではありませんが、完成させてから全面修正になる回数は減らしたいと思っています。
Q. 半年たって、この転職をどう評価していますか?
Aさん(架空):仕事の幅を広げるという目的には近づいています。でも、働き方まで含めて全部良かったとはまだ言えません。次の案件でも今の忙しさが続くのか、技術寄りの仕事へ関われるのかを見てから考えたいです。
前職に戻りたいと毎日思うわけではありません。ただ、以前の仕事にも良い条件があった、と分かった。どちらが上という話ではなく、自分が楽しめる仕事の割合が変わった感じです。
このケースから、転職前に確かめたいこと
この架空ケースでは、Aさんが欲しかった「意思決定に関わる仕事」は増えています。一方、実装の機会と生活時間は減る設定です。年収増だけを成功、残業増だけを失敗とすると、この人が迷っている点を取り落とします。
面談では「上流に関われますか」だけでなく、直近の案件で同じ職位の人が何を担当し、どんな成果物を出していたかを聞くと、仕事の中身を比較しやすくなります。配属が未定なら、確約されている条件と可能性として説明された条件は分けて残します。
給与も、月給・残業代・賞与の想定を分けて見る必要があります。この設定の800万円は賞与と残業代を含む想定額です。残業が減れば受取額も変わるため、金額と働き方を別々に期待しないことが比較のポイントです。
技術を使う時間を残したい人なら、コンサルという肩書だけでなく、技術検証や設計にどれくらい関わる役割なのかが大事です。待遇を維持して社内で担当を変える案も含め、自分が増やしたい仕事を基準に比べる余地があります。
参考資料と設定の考え方
資料確認日:2026年10月16日。以下は公開資料との照合で確認した範囲です。物語の人物や出来事が実在することを示す資料ではありません。
厚生労働省 job tag「ITコンサルタント」
業務改善やシステムに関する助言・提案という仕事内容の参考にしました。掲載されている全国の年収889万円、平均年齢38.3歳は令和7年賃金構造基本統計調査を加工した職業分類の値です。31歳の転職者だけの平均ではなく、記事の800万円を裏付ける数値ではありません。
OpenWork「コンサルティング業界の働き方レポート」
2021年8月集計の資料です。資料作成や顧客との議論、フィードバックに関する掲載口コミを、仕事を比較する観点として参照しました。投稿者の経験を当記事の人物の経験に置き換えてはいません。古い集計のため現在の平均残業時間の根拠にはしていません。
job tagの統計は、必ずしもページに書かれた職業だけの集計ではありません。年齢、企業規模、職位、勤務地などの条件も記事の人物とは一致しません。平均との差だけで、記事の給与設定が妥当だとは判定していません。
記事内の残業時間、在宅勤務の頻度、配属、給与内訳、転職後の評価は個別の仮定です。各ケースに一致する平均残業時間は確認できていないため、平均値としては紹介していません。口コミは個人の経験や集計対象の傾向を知る補助資料であり、すべての職場に当てはまる事実や、このケースの実績として扱いません。
